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会社を成長させていくもの -「判断」と「人」

会社を立ち上げてから20年になる。

一説には、起業して10年後に残っているのは1割だとも言われるので、そう考えるとそれでもよくやって来られたなぁと思う。

たしかに、同時期やそれ以降に創業した会社が、立ちゆかなくなって破綻する姿をいくつも見てきたし、羽振りの良かった会社が凋落する、まさに「盛者必衰の理」通りの姿も目にした。

特に、創業した1998年は、マザーズ(1999年創設)や、ナスダック・ジャパン(2000年創設)など、新興企業向けの新たな株式公開市場が始まろうとしていた時期だったので、上場を目指し、無理をして外部からの資本を取り入れた結果、経営権を奪取され創業者が自分の会社を追われるといった、胸を締め付けられるような姿も目の当たりにした。
そこまでしても結局、上場出来ず、凋落し、売却されたり解散に追い込まれたりした会社もあった。

もちろん、一方ではあたりまえのように成長していく企業もある。
会社が存続、成長していけるか、あるいは凋落、破綻に至るかの違いは、いったいどこで生まれるのだろうか。

会社の発展の成否を分けるもの-「判断」

一つは、経営者の「判断」だと思う。
経営コンサルタントの一倉定氏は「社長とは経済的な危険を伴う判断をする人のこと」だとおっしゃっていたが、その通りだ。

「人間」の一生が、どのようになっていくかを決めるものが、日々発生する様々な「判断」(と、その実行)の結果であるように、会社という「法人」の人生も、日々発生する「判断」によって決まっていくのだと思う。
ただ、その「判断」が「経済的な危険を伴う」ものなのかどうかは、分からないことも多い。
経営方針の決定や新事業参入、事業の統廃合など会社の命運を左右するような「判断」はもちろんだが、それほど重要とは思えないような小さな「判断」があとから大きな影響を及ぼすことも少なくないので注意が必要である。

経営者の「判断」だけでなく、社員の「判断」も重要だ。
一人が一日にする「判断」の数が同じであるなら、社内で行われる「判断」の数は社員数に乗じられるわけだから社長の行う数の比では無い。
軽重かかわらず、一日に会社の中でなされている「判断」は、いったいどれくらいの数あるのか想像もつかないが、その膨大な数の「判断」の一つ一つが、少しずつであっても会社に影響を与えていくことは間違いないだろう。

すべての「判断」を間違えずにする、ということは人間がすることである以上、難しいので、その勝率を高めることが大切になる。

どうしたら勝率を高められるのかについては、また別の記事で書こうと思う。

会社の発展の成否を分けるもの-「人」

会社の発展の成否を分けるものとして、「判断」と同様に大切なものが「人」特に「社員」だと思う。
前述した「判断」の話になぞらえれば、よい「判断」と「行動」が正しくできる「人」を採用し、その能力を発揮してもらうことが大切だということになる。

よく、企業経営に必要な要素として「人・モノ・金」の3つが挙げられる。
「金」が無ければ、「モノ」も買えないし、「人」に対して給与を払うことも出来ないので、資金の調達能力があることは、経営者として最低条件だ。
ただ、調達した「金」をどのように使うかは、前述した「判断」ということになるから、そこは経営者の能力によるところとなるだろう。

しかしながら、「金」を使って「モノ」購入することは出来るが、「人」を買うことは出来ない。ヘッドハンティングという方法はそれに近いのかもしれないが、通常、求職者がその会社に入社するきっかけになるのは、求人広告に対する応募である。
ある一時期、求人広告を出し、ちょうどその時に職を探している人たちがそれを目にし、魅力を感じた一部の人が応募をする。試験や面接等を経てさらに一握りの人が入社に至る。
それを考えると、入社してくれる人との出会いは「縁」としか言いようが無いように思う。

ありがたいことに、当社にも20年の間に多くの人が応募してくれた。
新卒採用を積極的に行っていた時期もあったので、いままでの応募者は2,000人~3,000人にはなると思う。
その中の一握りの人たちが縁あって社員となってくれた。
入社後、その人たちのそれぞれの活躍の結果、今の状態がある。
今現在、在籍している社員だけでなく、退職して今はいない人たちも、一人一人が、20年の中の、その時々に活躍をしてくれた結果が今につながっている。
人生の一時期を当社にかけてくれ、一緒に仕事ができ、感謝している。
本当にありがたいと思う。

創業経営者としてうれしいこと

会社をはじめてから数年後、忘年会か何かの会で、会場に向かう社員たちの集団の後ろから、追いつこうとしていたときに、とても不思議な感じがしたのを覚えている。
談笑しながら、前を歩いている人たちは、当社に入社することが無ければ、多分一生出会うことが無かった人同士なのに、今こうして楽しそうに歩いている。
「会社を創ってよかったな」と思った。

会社の同僚という関係を超えて、先輩、後輩、あるいは友人として一緒に遊びに行ったり、旅行に行ったりする話を聞いたりするのもうれしい。
社内結婚もうれしいことだ。
創業当初は独身者ばかりの会社だったが、その後、何組もの社内結婚がうまれた。
社員同士の結婚でなくても、当社に入社したからこそ、その相手と巡り会ったというケースも少なくないようだ。

昔、誰かの社長ブログに、社内恋愛の結果、結婚することになったカップルが報告に来たので、その幸せそうな二人に、「誰が会社を創ったおかげで出会えたと思う?」と聞いてやった。といった内容の記事があったが、「わかる。わかる!」と、とても共感した覚えがある。

会社を創ったことで、いままでまったく接点もなかった人と人が出会い、将来に向けて幸せな関係を築いていく。
こんなに素晴らしいことはない。

応募があった人の中から、誰を採用するかは、会社の「判断」であるし、そもそもどの会社に応募しようか決めるのは、応募者の「判断」である。
それぞれの「判断」が一致する、きわめて希有な一点があって入社に至る。

やはり、会社の成長は、「判断」と「人」なのだなと思う。

縁あって入社した「人」たちを、会社経営を通して幸せにしていく。
社員の幸せが会社の成長につながり、会社の成長がまた社員の幸せにつながっていく。
そのような会社にすることが、経営者の大切な仕事であるとそう思う。

この記事を書いた人

池谷 義紀
池谷 義紀株式会社アーティス 代表取締役
1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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