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デザインを美しくする「白銀比」について理解しよう(日本人が魅かれやすい白銀比)

前回の記事「デザインを美しくする「黄金比」について理解しよう!(身の回りにある黄金比) 」では、デザインを美しくするためのテクニックとして、古来より人間が最も美しいと感じる比率である「黄金比」について解説しました。

今回は、黄金比に並ぶ美しい比率のひとつとして、日本人に馴染みのあるとされている「白銀比」について解説していきます。

白銀比とは?

黄金比の時と同じようにWikipediaで調べてみました。

白銀比(はくぎんひ)と呼ばれるものは以下の2つがあり、いずれも無理比である。

1. 1:1+√2の比。貴金属比のひとつ(第2貴金属比)。

2. 1:√2の比。その という性質から、紙の寸法などに用いられている。Wikipedia:白銀比

と書かれていますが、日本では「2. 1:√2の比。」として知られており、別名「大和比」とも呼ばれています。
学生時代に、√2≒1.41421356(一夜一夜に人見頃)の語呂合わせを使って記憶された方も多いかと思いますが、
1:√2は、1:1.414(約5:7)を表す比率です。

白銀長方形とは?

黄金比の黄金長方形のように、白銀比にも「白銀長方形」と呼ばれるものがあります。
縦と横の比率が1:1.414の白銀比となっている長方形です。

白銀長方形は下記の方法で描くことができます。

白銀長方形

  1. 正方形ABCDを作図する。
  2. Bを中心とした、半径BDの円を描く。
  3. 辺BCをCのほうに延長し、2.で描いた円との交点をPとする。
  4. Pを通り、辺BCに垂直な直線を描く。
  5. 4.で描いた直線と、辺ADの延長線との交点をQとする。
  6. 長方形ABPQが、白銀長方形である。
白銀比作図法(ニコニコ大百科)

また、上記の作図方法を見て、お気づきかと思いますが、正方形の1辺と対角線の比も1:√2です。

正方形

紙の寸法は「白銀長方形」

白銀長方形の大きな特徴は、長辺で2等分すると、元の白銀比の長方形と相似形になる点です。
白銀長方形の縦横比は、私たちの身近なところにあるA版(A3・A4など)とB版(B4・B5)といったISO 216規格で定められる紙の寸法に用いられています。

A版サイズ

A版サイズ

規格 サイズ(mm) 縦横比 用途例
A0 841×1,189 1:1.41 大判ポスター
A1 594×841 1:1.41 新聞見開き
A2 420×594 1:1.41 ポスター
A3 297×420 1:1.41 選挙ポスター
A4 210×297 1:1.41 大学ノート
A5 148×210 1:1.41 雑誌など
A6 105×148 1:1.41 文庫本

B版サイズ

規格 サイズ(mm) 縦横比 用途例
B0 1,030×1,456 1:1.41 大判ポスター
B1 728×1,030 1:1.41 大型ポスター
B2 515×728 1:1.41 ポスター
B3 364×515 1:1.41 中吊り広告
B4 257×364 1:1.41 折込チラシ
B5 182×257 1:1.41 教科書、雑誌
B6 128×182 1:1.41 単行本

なぜ日本人に馴染みがあるのか?

「大和比」とも呼ばれるほど日本人に馴染みがあるとされている白銀比。
西洋の黄金比と同じように、白銀比は、世界最古の現存する木造建築物である法隆寺の金堂や五重塔に使われており、国内の寺社建築や仏像の顔、日本絵画など「日本人が美しいと感じる比率」として古くから用いられています。

法隆寺金堂、五重塔

また、ドラえもんやアンパンマン、キティちゃんの顔といった人気キャラクターにも白銀比が用いられているため、私たち日本人に親しみある比率となっています。

さらに最近では、意図的なのかどうかはさておき、東京スカイツリーにも白銀比が見られるそうです。(全高634mに対して第2展望台までの高さが448m 1:1.41)

スカイツリー白銀比

東京スカイツリー

日本人を対象にした好みの比の調査結果

数学者である中村滋の著書「フィボナッチ数の小宇宙」では、2001年に日本人を対象にどのような比の四角形が好きかを調べた調査結果が記されています。

調査結果によると、日本人に最も好まれやすいし四角形の比率は、

1位(19.3%)          1:1.43(白銀長方形に極めて近い)
2位(17.7%)           1:1(正方形)
3位(15.0%)           1:1.62(黄金長方形に極めて近い)

となっており、日本人に好まれやすい比率が、白銀比に極めて近い値であることが分かります。

さいごに

国内の歴史的建造物からキャラクターまで幅広く用いられている白銀比(1:1.414)。

黄金比(1:1.618)よりも日本人に馴染みのある「美の比率」として知られていますが、白銀比の由来は日本人ならではの「もったいない」という精神から生み出されたものではないかとも言われています。

興味深いのは、日本における白銀比は美しさを表現する基準ではなく、日本人に特有の物を大切にする「もったいない」という感覚と合理性に基づいている点です。これは、建造物に正方形を用いる木造建築から始まったと言われています。丸太を伐採し、断面が正方形の角材を切り出すのは、無駄を出さない事が理由です。円に内接する長方形の面積を最大にする形が正方形である、と言うことだと思います。風呂敷や畳、法隆寺が正方形を基本とする理由も、その最適性と汎用性にあります。Coffee Break (28)  白銀比

白銀比や黄金比は、古くから用いられていた美術的要素ですが、現代においてもグラフィック、web、建築などのデザインに活用することができます。ぜひ、白銀比や黄金比をwebサイトのレイアウトやデザインに取り入れてみてはかがでしょうか。

この記事を書いた人

田村 奈優太
田村 奈優太事業開発部 次長
印刷会社の営業を経て、2008年にアーティスへ入社。webディレクターとして多くの大学・病院・企業のwebサイト構築・コンサルティングに携わる。2018年より事業開発部として新規サービスの企画立案・マーケティング・UI設計・開発に従事している。
資格:Google広告認定資格・Yahoo!プロモーション広告プロフェッショナル
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