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医療機関ウェブサイト広告規制 〜厚労省のウェブサイト事例解説書を説明します〜

以前の記事「医療機関ウェブサイト広告規制 ~医療広告ガイドラインに関するQ&A発出~」で、医療広告ガイドラインに関するQ&A資料を紹介しましたが、より具体的な事例をまとめた「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」が、2021年7月26日に厚生労働省より示されました。

この記事では、上記資料内の見るべきポイントについて紹介したいと思います。

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書

事例解説書は下記の4つに分類された計21事例で構成されています。

  1. 広告が禁止される事例
  2. 広告可能事項の記載が不適切な事例
  3. 限定解除要件の記載が不適切な事例
  4. 広告するにあたって注意が必要な事例

実際のウェブサイトを模した図に解説だけでなく改善例も提示されているため、これまでの資料よりも詳細で格段にわかりやすくなっています。

上記の事例解説書の中で紹介事例が最も多く、皆さんが一番気にされていると思われる「1.広告が禁止される事例」から注目すべきポイントを紹介します。

データの根拠を明確にしない調査結果(虚偽広告)

上記事例の注目ポイントは事例②です。

これまでの「医療広告ガイドライン」や「医療広告ガイドラインに関するQ&A」では事例①のような「顧客満足度」に関する例しか触れられていませんでした。

(1)  内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)

法第6条の5第1項に規定する「虚偽の広告をしてはならない」とは、広告に示された内容が虚偽である場合、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させ、不適切な医療を受けさせるおそれがあることから、罰則付きで禁じられているものであること。

【具体例】

  • 「絶対安全な手術です!」
  • 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」

→絶対安全な手術等は、医学上あり得ないので、虚偽広告として取り扱う。

  • 厚生労働省の認可した○○専門医

→専門医の資格認定は、学会が実施するものであり、厚生労働省が認可した資格ではない。

  • 加工・修正した術前術後の写真等の掲載

→あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱う。

  • 「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)

→治療後の定期的な処置等が必要であるにもかかわらず、全ての治療が一日で終了するといった内容の表現を掲載している場合には、内容が虚偽広告として取り扱う。

  • 「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)

データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、データの結果と考えられるもののみを示すものについては、虚偽広告として取り扱うべきであること。

また、非常に限られた患者等を対象に実施された調査や謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても、虚偽にわたるものとして取り扱う。

  • 「当院は、○○研究所を併設しています」(研究の実態がないもの)

法第 42 条の規定に基づき、当該医療機関を開設する医療法人の定款等において同条第2号に掲げる医学又は歯学に関する研究所の設置を行う旨の定めがある場合等においても、研究している実態がない場合には、虚偽広告として取り扱う。

医療広告ガイドライン 第3 禁止される広告について

Q3-22  治療内容について、「歯を削らない痛くない治療(99%以上の満足度)」との表現は、広告可能でしょうか。(P.6-9,24)

A3-22  「歯を削らない治療」といった表現は、広告可能です。

「痛くない治療」のような科学的根拠がなく虚偽広告や誇大広告のおそれがある表現は、広告できません。また、「99%の満足度」については、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。

医療広告ガイドラインに関するQ&A【3.医療広告ガイドライン第4部、第5部関係(広告可能な事項、限定解除)】

顧客満足度を積極的に掲載する医療機関は限られていますが、治療の効果に関する何らかの数値を掲載することはどの医療機関でも十分にあり得ると思います。

サイト上に表示する場合は、データ根拠を示すコンテンツも併せて掲載するようにしましょう。

データの内訳が示されていない手術件数

次も掲載データに関する事例です。

これまでの資料にも手術件数表示に関する指摘はありましたが、とてもわかりづらいものでした。

Q3-17  当該医療機関で行われた手術件数について、例えば過去 30 年分の件数は、実績として広告可能でしょうか。(P.27)

A3-17  当該医療機関で行われた手術件数について、当該件数に係る期間を併記すれば、広告可能事項で示した範囲で広告可能です。ただし、手術件数は総手術件数ではなく、それぞれの手術件数を示し、1 年ごとに集計したものを複数年にわたって示すことが望ましいです。過去 30 年分のような長期間の件数であって、現在提供されている医療の内容について誤認させるおそれがあるものについては、誇大広告に該当する可能性があります。

医療広告ガイドラインに関するQ&A【3.医療広告ガイドライン第4部、第5部関係(広告可能な事項、限定解除)】

今回の事例解説書で明確にNGな掲載例が示されましたが、「これまで〇〇件以上の手術を行ってきました。」というような言い回しは珍しくありませんので、「え!ダメなの?」と思われている医療関係者の方も多いのではないでしょうか?

これまでの総手術件数などを掲載する場合は、1年ごとに集計した件数も併記するようにしましょう。

医療広告ガイドラインを遵守している旨の広告(誇大広告)

医療広告ガイドラインへの適合アピールについては、「医療広告ガイドラインに関するQ&A」で簡単に触れられています。

Q5-13  医療機関等のホームページが厚生労働省の医療広告ガイドラインに適合していることをアピールする目的で、遵守している旨を記載し、厚生労働省のシンボルマークを貼ってもよいでしょうか。(P.7-9)

A5-13  医療広告ガイドラインを遵守していることは、特段、強調すべきことではないと考えられるため、過度な記載をすることは誇大広告に該当する可能性があります。

また、厚生労働省のシンボルマークを使用するにあたっては、厚生労働省が公表した資料の転載等を行う際に、厚生労働省シンボルマークが含まれている場合等に限られており、それ以外の目的では使用できません。

医療広告ガイドラインに関するQ&A【5.その他】

今回の事例解説書に掲載されたことを考えると、相当数のサイトで医療広告ガイドラインに違反した医療広告ガイドラインへの適合アピールが見つかったのではないでしょうか。

「医療広告ガイドラインに関するQ&A」内の「過度な記載」という曖昧な表現を、明確にしたい厚生労働省の意図が読み取れます。

改善例も掲載されていますので、掲載する場合は参考にしてください。

科学的根拠が乏しい情報による誘導(誇大広告)

上記の事例は「医療広告ガイドラインに関するQ&A」に記載はなく、「医療広告ガイドライン」の内容も極端な例文が多いため、あまりイメージがわかない内容でした。

(3) 誇大な広告(誇大広告)

法第6条の5第2項第2号に規定する「誇大な広告」とは、必ずしも虚偽ではないが、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告を意味するものであり、医療広告としては認められない。

「人を誤認させる」とは、一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があることを常識的判断として言えれば足り、誤認することを証明したり、実際に誤認したという結果までは必要としない。

【具体例】

  • 伝聞や科学的根拠に乏しい情報の引用

→医学的・科学的な根拠に乏しい文献やテレビの健康番組での紹介による治療や生活改善法等の紹介は、それらだけをもっては客観的な事実であるとは証明できないため、誇大広告として取り扱う。

  • 「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります。」
  • 「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください。」

→科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するものは、誇大広告として取り扱う。

  • 「○○手術は効果が高く、おすすめです。」

→科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の手術や処置等の有効性を強調することにより、有効性が高いと称する手術等の実施へ誘導するものは、誇大広告として取り扱う。

  • 「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をおすすめします」

→科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の手術や処置等のリスクを強調することによりリスクが高いと称する手術等以外のものへ誘導するものは、誇大広告として取り扱う。

医療広告ガイドライン 第3 禁止される広告について(※具体例については一部抜粋)

今回示された事例を見ると「~といわれている」「期待できる」など、断定的な言い回しを避けており問題ないように見えますし、実際に医療機関サイトで見たことがあるような内容ですが、確かに科学的な根拠については触れられていません。

科学的な根拠の掲載が必要かどうかは閲覧するユーザーでは判断できませんので、医療機関の誠実な対応が求められる部分かと思います。

特定の手術や治療を紹介する際は、科学的な根拠に基づく情報配信を行うのはもちろん、ユーザーの不安を煽ったり、有効性を強調するようなことは避けるようにしましょう。

さいごに

いかがだったでしょうか?

いくつかの事例を紹介しましたが、医療広告に携わる自治体関係者の方や医療関係者の方は必見の資料となっていますので、是非すべての事例に目を通してみてください。

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鈴木 良直

ソリューション事業部 部長
大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。 営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。 現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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