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医療機関ウェブサイト広告規制 ~2018年6月1日改正医療法が施行~

2016年4月に厚生労働省が医療機関ウェブサイトを広告規制の対象とする検討を開始してから、これまで5回に渡って当ブログで動向をまとめてきましたが、2018年5月8日に医療広告ガイドラインが発表され、2018年6月1日改正医療法が施行されました。
今後、医療機関ウェブサイトも医療法の広告規制を受け、是正命令や罰則の対象になります。

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)等について

上記の資料には2018年6月1日に施行予定と記載がありますが、その後施行に関連する資料が見当たらなかったため厚生労働省に直接問い合わせたところ「予定通り2018年6月1日に施行された」との回答でした。

厚生労働省webサイト「医療法における病院等の広告規制について」

医療機関ウェブサイトで掲載してはいけないこと

5月8日に発表された新しい医療広告ガイドラインでは禁止される広告について以下のように記載されています。

(1)広告不可能事項の広告

  • 死亡率・術後生存率の掲載
  • 未承認医薬品による治療内容の掲載

(2)虚偽広告

  • 「絶対安全な手術」など医学上あり得ない文章の掲載
  • 加工・修正した術前術後の写真等の掲載
  • 「◯%の満足度」など根拠のないデータの掲載

(3)比較優良広告

  • 「日本一」「No1」「最高」などの最上級の表現や優秀性について誤認を与える表現
  • 著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現

(4)誇大広告

  • 「知事の許可を取得した病院です!」など当然であることをあたかも特別な許可を得たように誤認を与える表現
  • 「◯◯学会認定医」(活動実態のない団体による認定」
  • 術前術後の写真等など手術や処置等の効果又は有効性を強調する表現
  • 「比較的安全な手術です。」など比較対象が不明確な表現
  • 「○○手術は効果が高く、おすすめです。(おすすめしません。)」など科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の手術や処置等の有効性(リスク)を強調する表現

(5)患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告

  • 個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない。
  • 個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しない。

(6)治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等

  • いわゆるビフォーアフター写真等を意味するものであるが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められない。
  • ただし、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合は除く。

(7)公序良俗に反する内容の広告

わいせつ若しくは残虐な図画や映像、差別を助長する表現など

(8)その他

  • 「ただいまキャンペーンを実施中」「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」など品位を損ねる表現
  • 「医薬品医療機器等法」「健康増進法」「景表法」など他法令又は他法令に関する広告ガイドラインで禁止される表現

基本的にはこれまでの医療法ガイドラインを踏襲していますが、前回のブログ「医療機関ウェブサイト広告規制 ~新ガイドライン案が検討会で了承~」で掲載したステルスマーケティングに対する規制や、術前術後画像は条件付きで規制対象外にする措置が盛り込まれる形となりました。

よくある具体例と見解

最近、医療法改正に関する問い合わせが非常に増えており、その多くは「運営するウェブサイトで実際に広告規制に触れる箇所があるか」という内容です。

医療広告ガイドラインに記載されている規制内容では判断が難しいケースもあるため、個人的な意見となりますが、よくある具体例と見解について紹介します。

事例1:トップページメイン画像に「安心・安全な医療を提供します。」というキャッチコピーを表示している。

「提供します」と言い切ってしまうのは「誇大広告」にあたるためNGです。
「提供を目指します。」など必ず提供すると言い切る言い回しでなければ問題ありません。

事例2:ある雑誌で病院が紹介されたため、ウェブサイトのお知らせにその旨を掲載した。

医療広告ガイドラインには下記の記載があり、紹介された事実があったとしても掲載はNGだと考えられます。

雑誌や新聞で紹介された旨の記載

自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではないので、広告は認められない。医療広告ガイドライン「第2 広告規制の対象範囲」より

事例3:手術を紹介するページに手術前後の写真を掲載した。

手術前後写真のみ掲載している場合はNGですが、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を手術前後写真の近くに掲載すれば問題ありません。

事例4:患者さんにインタビューし、病院での体験談を掲載した。

患者さんの状況によって感想は異なり、誤認を与える可能性があるためNGです。

事例5:人間ドックの割引について強調したデザインで告知した

費用を強調した告知は「品位を損ねる表現」にあたりNGとなります。

さいごに

ついに改正医療法が施行され、医療機関ウェブサイトが広告規制、罰則の対象となりました。
医療広告ガイドラインをしっかりと理解し、客観性、正確性のある情報提供がなされているか、いまいちど見直しましょう。

この記事を書いた人

鈴木 良直
鈴木 良直ソリューション事業部 部長
大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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