仕事と働き方についての考え3「私たちの仕事」
この記事は、アーティスの代表者である池谷が自身の仕事と働き方についての考えを、社員に向けて発表したものです。
もともと社内文書であるため、広く外に向けて発信する文書と比べると書き方や内容に違和感を覚える箇所もあると思いますが、あえてそのままの状態で掲載します。
また、2014年の9月に書かれた文書であるため、当時の就活状況等、現在とは若干ことなる部分もあると思いますがご了承ください。
INDEX
さて、では私たちの会社で行っている仕事は何でしょうか。
名刺の通信販売でしょうか。ホームページの作成でしょうか。システムの構築でしょうか。
何の仕事かという場合、業種や職種で示す場合が一般的ですが、その仕事がどのような価値を生み出し、どんな役目を果たしているのか、それを提供した相手にどのような利益をもたらしているのかという観点でも考えてみましょう。
私たちの商品は「情報を伝える手段」です。
お客さんの初めての出会いを応援する「名刺」
名刺は、基本的には初めての出会いの際に、自分の情報を正確に相手に伝えると同時に印象付け、次回以降の連絡を間違いなく行えるようにするためのツールです。
名刺を持たずに、初対面のビジネスの場に臨むことはきまり悪いものですが、私たちは、高品質で自信をもって渡せる名刺、デザインに工夫があり自分を強く印象付ける名刺、面白いデザインで話題のきっかけになる名刺など、91×55mmという限られた面積の中に創意工夫を凝らすこと、そして品質管理を徹底し心のこもった名刺を作ることによって、お客さんの初めての出会いを応援しています。
私たちが作った名刺は、お客さんが新しい取引や人間関係をスタートさせる場に居合わせ、自己紹介の支援をします。それっきり会わないこともあるでしょうが、一方でそこからその後の人生を変えるほどの大きな取引が生まれることや、生涯にわたる付き合いが始まることもあるでしょう。
そうした、お客さんの人生にかかわる初めての出会いの場で、私たちの作る名刺が活躍していることは、とても素晴らしいことだと思います。
必要としている人に必要とされる情報を分かりやすく伝える「Webサイト」
名刺ほどの長い歴史はありませんが、Webサイトが果たす役割も、ここ十数年で格段に重要となりました。
ITが生活の基盤となり、そこでやり取りされる情報が人々の生活を左右していく。そんな時代の中で、必要としている人に必要とされる情報を分かりやすく伝える。また、何かを伝えたいと思っている人の手助けをし、それが伝えられることによって喜んでくれる人に対して上手に伝えられるようにする。
それがWebサイトの制作やシステムの構築、そして運用指南を通して実現する私たちの仕事です。
私たちのクライアントには、大学をはじめとした教育機関や病院などが数多くあります。
例えば、大学選びは、その大学での勉学はもちろん、そこで初めて会う先生や友達などとの新しい出会いと、その後の付き合い、新しい場所での新生活など、その人の人生を大きく変えていく転機となります。
一方で病院選びであれば、健康や、極端な場合には生死にかかわる選択になることもあると思います。
大学や病院に限らず、私たちの作るサイトや、それを下支えするシステムは、多くの情報を提供し、そのフィードバックを情報の供給者に返します。その情報のやり取りの中で、人々はさまざまな選択をし、自らの人生を作っていきます。
人生というものは、日々起きる多くの選択と実行の結果で決まっていきますから、その選択に関与したということは、その人の人生に関与したといってもよいでしょう。
私たちの仕事は、名刺にしてもWebサイトの構築にしても、人と人とのコミュニケーションを司るものであり、時には利用する人の人生を大きく変えるものなのです。
お客さんやユーザーの方たちの人生をより良いものにしていく。
そのために私たちは、
- 初めての出会いと、その後の関係がよいものになるような応援をする名刺を作る
- 人間心理や人間工学を理解したうえで、最も効果的なコミュニケーション手段を選択する
- 綿密に考えられた導線設計や画面設計を行う
- 認知科学や心理学の裏付けに基づいたデザインを作成する。
- 直観的に使え快適に操作できるシステムを構築する
- 運用の結果を分析しさらに成果を上げられる方法を考える
- 人を喜ばせ面白がらせ、楽しませるコンテンツの創作と提供をする
等、「情報を伝える手段」にさらに磨きをかけ、提供を続けていきます。
わかりやすいITと上手なコミュニケーションで笑顔をふやす
それが当社のミッションです。
私たちの会社で大切にしたいデザイン理念
デザインという言葉は、模様や形態のようないわゆる「見た目」のことを指すように思われることが多いと思いますが、本来は、「設計」や「計画」のことを言います。
ライフデザイン(人生設計)などという言葉はまさにそれですね。
その根幹には、「事実」や「科学」、「概念」などに基づいた「思考」があり、その結果として表面に現れるものが「見た目」です。
ですから、デザインとは単に表面的なものを指すのではなく、深い思想に基づくものであることが分かります。
さて、そう考えてみると、私たちの会社では日々たくさんのデザインが生み出されています。Webのデザインや名刺のデザインは言うまでもなく、WFやサイトマップ、企画の立案と計画、システムの設計、各種書類や帳票、営業活動の計画、事業フローの組み立て等々、あらゆるところにデザインがあります。
ですから、会社としてどういうデザイン理念を持つのかということは、会社のありかたや、さらには会社の未来を決めていくことにもなりますので、ここであらためてアーティスのデザイン理念について説明をしておきます。
当社のデザイン理念の原則
当社のデザイン理念の原則は、
人間尊重の精神に基づいた、ユーザビリティを最大化するデザイン
にすることです。
ユーザビリティとは、ご存じのとおり、「使いやすさ」のことを言いますが、私は、使いやすいことは当然であり、その上の「使って気持ちが良い」とか、「使っていて楽しい」といった「使い心地」のことを目指すべきだと思っています。
当然、その根本には、人間心理や人間工学の概念があり、そこには「人間尊重」つまり、人間とは本質的にどういう生き物であるのかという理解があります。
シンプリシティに加え、ユーモアやウィットなどの遊び心を加えたデザイン
ユーザビリティを求めていくと必然的に、シンプルデザインとなっていきます。
飛行機乗りであり、「星の王子さま」の作者として有名な、サン・テグジュペリが、シンプリシティ(単純性)に関する分かりやすい言葉を遺しているので紹介しておきます。
―中略―
何においてであれ「完全」とは、すべてを脱ぎ去り、ありのままの姿に戻ったとき、つまり、加えるべきものがなくなったときではなく、取り去るものがなくなったときに達成されるのである。アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリ
ただ一方で、シンプリシティの追求は、ある意味ストイックな面があり、面白味がなくなるという側面がある場合があります。
そこで当社においては、シンプリシティに加え、ユーモアやウィットなどの遊び心を加えたものとしたいです。
たとえば、最近は見ることが少なくなりましたが、画面の移り変わりやシステムの応答待ちに現れる「砂時計」のアイコンなどは、最初に見たとき、意味するところを伝えつつも、遊び心が感じられていいなぁ、と思いました。
また、最近はどうなのか知りませんが、illustratorの隠しコマンドで、マウスの矢印を、タスクバーに表示される目玉が追いかける(しかも夜遅くになると目玉が眠そうに変化する)仕掛けなど。昔は、結構多くのソフトウェアに面白い隠し仕掛けが用意されていました。
使う方も楽しいし、作った人たちもきっと楽しんで作ったのだろうな、というのが感じられました。
前述したとおり、ユーザビリティとは、単に使いやすいということだけではなく、使っていて心地よい、楽しいというものに昇華させるべきだと思っています。
もちろんケースバイケースではあると思いますが、ユーザーが使う場面をイメージして、それが有効だと思われる場面では、きれいだな、面白いね、楽しいね、といってもらえるようなデザインを考えていきたいです。
今日以降、あらためて自分が生み出すデザインが、その原則に則っているか常に意識するようにお願いします。
この記事を書いた人
- 1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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